応用行動分析学ABAを、犬の暮らしに生かす
1ヶ月・全30回|犬の森の、やさしくて科学的な行動分析入門
「犬が吠えるのは、怖いから」
「要求吠えだから、無視をする」
「興奮しやすい性格だから」
「この犬種だから仕方がない」
犬の行動について、私たちはつい「なぜそうするのか」を犬の性格や気持ちの中に探したくなります。
もちろん、犬の感情や身体の状態を考えることは大切です。
けれど、もうひとつ持っておきたい視点があります。
その行動の前に何があり、犬が何をして、その直後に何が起きたのか。
犬の行動を「環境との関係」から見ていくのが、行動分析学です。
このPDFは、応用行動分析学(ABA:Applied Behavior Analysis)の基本を、犬との暮らしに当てはめながら30回で学んでいく教材です。
難しい専門用語を覚えることが目的ではありません。
「吠えを止めるには?」
「引っ張らせないためには?」
という方法探しの前に、
なぜ、その行動が続いているのだろう?
と考えられるようになること。
それが、この30日間の大きな目標です。
「行動学」と「行動分析学」は、同じものではありません
犬の世界では「行動学」という言葉をよく耳にします。
一方で、
動物行動学と行動分析学は、もともと異なる学問領域です。
動物行動学は、生物学を基盤として動物の行動を研究してきた学問。
行動分析学は、心理学の領域から発展し、
行動と環境との関係、そして行動がどのような随伴性によって増えたり減ったりするのかを分析してきた学問です。
犬について学んできた方でも、
「三項随伴性」
「機能分析」
「確立操作」
「消去」
「分化強化」
といった言葉には、あまり触れる機会がなかったかもしれません。
それは珍しいことではないと思います。
私自身、20年ほど前に犬の行動を学び始めた頃、
「行動がなぜ続くのかを、こういう形で分析する学問はどこで学べるのだろう?」
と、ずいぶん探しました。
犬の専門教育の中では、動物行動学に触れる機会があっても、行動分析学を一から体系的に学ぶ機会は、まだそれほど多くありません。
だからこそ、今から学べばいい。
大げさな資格取得でも、誰かに宣言する必要もありません。
こっそり読んで、明日のケースを見る目を一つ増やしていただけたら。
そんな教材です。
30日間で扱うこと
最初は、「そもそも行動とは何か?」から始めます。
「吠えない」「引っ張らない」といった“しないこと”を目標にするのではなく、犬が実際にできる行動として捉え直す「死人テスト」。
そこから、
A:先行事象
B:行動
C:結果
という三項随伴性(ABC)を使って、犬の行動を読み解いていきます。
さらに、
正の強化・負の強化
弱化
行動の機能
確立操作
機能的アセスメント
先行操作
消去
消去バースト
DRAなどの分化強化
シェイピング
拮抗条件づけと系統的脱感作
般化と維持
ヒューマン・ヒエラルキーとLIMA
へと進み、最後は散歩中の吠え、引っ張り、拾い食い、お留守番などをケースとして通して考えます。
各回には、
本文
今日の用語
今日の宿題
次回への予告
エビデンスと参考文献
を収録。
「今日はひとつだけ持ち帰る」という形で、少しずつ積み上げられる構成です。
特に、犬に関わる仕事をしている方へ
トレーナー、インストラクター、ペットシッター、トリマー、動物看護、保護活動など、犬に関わる仕事をしていると、
「この犬には何をすればいいのか」
という答えを求められる場面が増えていきます。
でも、方法をたくさん知っていることと、
目の前の犬の行動が、なぜ維持されているのかを分析できること
は、少し違います。
同じ「吠える」でも、
注目が得られることで続いているのか。
嫌なものが離れることで続いているのか。
そこが違えば、介入も変わります。PDFでも、同じ「吠える」という行動でも、その後に起こる結果によって機能が異なることを、ABCで具体的に扱っています。
犬を見る力だけではなく、
犬を取り巻く人、環境、そして自分自身の反応まで見る。
その視点を持つと、トレーニングは少し違って見えてきます。
経験を否定するための学問ではありません。
これまで積み上げてきた経験を、
「なぜそうなったのか」と説明できる形にするための道具として、ABAを使ってみてください。
一般の飼い主さんにも
専門家だけの内容ではありません。
むしろ、
「叱りたくない。でも、どうしたらいいのか分からない」
「無視すればいいと言われたけれど、本当にそれでいいの?」
「ごほうびを使っているのに、なぜうまくいかないの?」
「犬の気持ちを考えすぎて、かえって分からなくなってしまった」
そんな飼い主さんにもおすすめします。
ABAは、犬を冷たく分析するためのものではありません。
犬を責めず、
人も責めず、
何がこの行動を支えているのだろう?
と、事実を一つずつ見ていくための道具です。
犬の森では、この視点を
「犬を変える」より「環境と自分を整える」
ために使います。
こんな方におすすめです
知らなかったことを、今から知る。
それで十分です。
誰にも言わず、こっそり学んでいただいても構いません。
そして次に犬を見るとき、
「この犬はなぜこんなことをするのだろう?」
から、
「この行動の前と後で、何が起きているだろう?」
へ。
視線が一つ変わったら、この教材の役目はかなり果たせたと思っています。
¥5,500
過去にこのサイトで会員登録を行った場合は、会員ログインして購入をお願いします。